Azusa Yamakoshi
Art Gallery Director


  ・高校の時に出会った本
  ・やっぱり美術が好きだと気づいた
  ・サリンジャー作品との出会い
  ・恩師の先生

 

山越 梓さん
東京都中野区
アートギャラリー ディレクター

 

高校の時に出会った本

中学生の時は装丁家になりたかったんです。
小さい時から本が好きで、
小6の文集の将来の夢には
“何かしら本に関わる仕事”って書いてました。
だから、デザイン科に行こうって思っていて、
勉学は普通にできたけど、
図画工作が良くなかったから、
中学で美術部に入って、トレーニングしたんです。
でも、トレーニングしてみると下手なんですよ。

一回ハードルを設けようと思って、
美術科のある高校を受験してダメだったらやめようと。
哲学的な方面も好きだったから、
文学科とか行っても楽しいだろなって思って。
トレーニングの甲斐あって高校には無事に入学できて、
たまたま高校の図書館で、
この本(「ザ・ナウ・アート・ブック -世界50人アーティストの作品とメッセージ-」著:W.Januszczak,C.Lyttelton)に出会いました。
図録多いしかっこいい文章だし、
かっこいいな!って思ってね、
同じ時期に現代アート志望の同級生と喋ったり、
内藤礼の個展を鎌倉で見たりしました。
それまで写真でしか現代アートを見てなかったから、
体験するというか、空間に行くのがはじめてで、
なんだこれはって。
それから現代アートにも興味を持ち始めました。
でも、装丁家になりたかったのが
人生で一番長かったんじゃないかな。
今は無いからさ、なりたい職業。

 

 

やっぱり美術が好きだと気づいた

今は銀座にあるギャラリーで働いています。
ちょうど働き始めて丸一年ですね。
ギャラリーだけど、
若手のアーティスト向けのコンペティションを
毎年開催していて、
そのコンペに関連した展示が年に4回あります。
展示が初めての人も多いから、
展示の内容に関して、
作家とコミュニケーションをとりながら、
いやぁこれは無理ですねぇとか、
展示のポスターを作ってもらうデザイナーに、
そろそろお願いしますとか、
展示の写真を撮ってもらう写真家に、
この日にお願いしますとか、
そんな仕事をしています。

高校からずっと美術系だから
一回離れてみようと思って、
大学を出て1年間は、
今とは違うイベントスペースで働いていました。
美術とは違う分野で、
いろんな分野のトークイベントとかをやっていて、
触れたことが無いことに触れるのは面白かったけど、
やっぱり美術のほうが好きだなって、思って。
そしたら、たまたま今の仕事の求人があったんです。

 

 

サリンジャー作品との出会い

私、小説だとサリンジャーが好きで、
「ナイン・ストーリーズ」を最初に読んで、
この本を書いた人はすごい!って感動して、
高校3年生の受験の合間に読んでました。
でも、面白すぎて受験に手がつかなくなると思って、
大学の合格発表のその日に、
サリンジャーの他の作品、
「フラニーとゾーイ」とか、
「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」とか、
「ライ麦畑でつかまえて」とかを一気に買いました。
高校生の時に、
翻訳された小説を一切読まない期間があって、
日本語作者の本ばかり読んでいたのだけど、
「ナイン・ストーリーズ」だけは、
原著も翻訳本もあるんですよ。
ペーパーバックで4冊、今は、1冊欠けてるけど、
原著とそれぞれの翻訳バージョンでね。

 

 

恩師の先生

高校時代の恩師の先生がいるんだけど、
当時で、もう年齢が70いくつとかでね、
非常勤で教えに来ていて、
その先生のおかげで、
美学的なところに興味を持ったんです。
先生の声が小さくて全然聞こえなくて、
授業の内容は覚えていないんだけど、
こういう向き合い方があるのねって勉強になりました。
この前、群馬県に展示を見に行ったら、
先生の作品もあって、
「ああ、先生の作品だ」ってキャプションを見たら、
生没年の表記に没年が記されててね、
あ、お亡くなりになったんだって。
そこで知ったの。

ちょうど、2011年に先生の回顧展があってね、
70代のおじいさんがすごくがんばって、
200号サイズの巨大な新作を作ってて、
それを間近で観れたのはすごくよかったよね。

  

Pick up Book

“文芸 2017年 05月号”

最近文芸を買ったんだよね、生まれて初めて。
ミヤギフトシっていう美術作家がいて、
その人がはじめて小説を書いた、
というので掲載されてて、
これはすごいよかった。本人もすごい小説好きで、
小説でどのように語るかを考えている作家だから、
作品と近いっていうか。
久々に小説を読んで面白かったなって。