Sacco Fujishima
Artist


  ・なんにも腑に落ちない
  ・そういうふわっとした気持ち
  ・これを描きたいんじゃん
  ・あれは素晴らしかったなぁ

 

フジシマ サッコさん
茨城県つくば市
画家

 

なんにも腑に落ちない

紹介というか、思い入れのある本で、
さっきも読んでたけど、
村上春樹の“東京奇譚集”。
短編集なんだけど、
これの“どこであれそれが見つかりそうな場所で”
っていう話が好き。
この話、whyが全く説明されないで終わる。
なんにも腑に落ちない、説明されないで、
ぶん投げられる感がすごく好き。
私、記憶力がなくて、小説はすごく好きだけど、
読んだ小説なのに全く覚えてなかったりして、
何回でも新鮮な気持ちで読める。
へー、おもしろいなぁって読んでるうちに、
あれ?これ読んだことある、みたいな。

小さい頃は活字を読むのがすごく嫌いだったけど、
小説だけは読むのが遅いけど読むことができて、
今でも時々読みますね。
学校の授業で丸読みってあったじゃん?
クラスのみんなで一文ずつ音読する。
あの時間がすごく苦手で、
なんで自分のペースで読ませてくれないの!
って思ってた。

 

 

そういうふわっとした気持ち

小さい頃から宮沢賢治が結構、好きでした。
両親が賢治リスペクトで、宮沢賢治記念館に行ったり。
で、“注文の多い料理店”が印象に残ってる。
あれも不条理な話じゃない?
教訓ぽく無いというか、、
こんなこと起こったらすごく嫌だっていう不条理感が、
おしゃれというか、不思議、面白いって。
挿絵も良い感じだったから、いいなぁって。
そういうふわっとした感じがいいなぁ、好きだなって。

絵を描いてる時は、そういうふわっとした気持ちに
なってもらえると良いなって思いながら、
描くこともあるかもしれない。
なんだろう、私は、絵に人を登場させていなくて、
人が入ってしまうと急に背景になってしまう、
人のための舞台になってしまう、
っていうのが嫌で。
空間として持っているエモさみたいなものを、
色彩なり構図なりで表現したいと思ってます。

絵は人工物を描くことが多くて、
人工物ってまさに人が作った、
人のための空間なんだけど、
人を感じるはずなのに、人がいない、という
あえて人を入れないことで、その冷たさの中で、
人を感じるエモさみたいなのを表現したい。

なんか、そういう人工物とか廃墟とかが、
エモいみたいな話をすると、
わからんわーって人もいるけど、
どうですか?

 

 

これを描きたいんじゃん

小さい頃、すごくトンネルが好きで、
トンネルと高速道路がすごく好きで、
車に乗ってて、トンネルが来ると、
すごくテンションが上がるから、
家族に、うるさいって言われる子どもでした。
首都高をちょっと見た時とか、
首都高かっこいい!みたいな。

でも、そういうものを絵に描き始めたのは、
大学に入ってから。
野外風景実習っていう授業があって、
その時は群馬県の妙義山っていうところの風景を
油絵で描く実習だったんだけど、
集合駅の2駅前とかに安中駅という駅があって、
その駅の目の前に、
安中工場っていう亜鉛の工場があるんですよ。
それで、安中駅で電車のドアが開いたら、
ちょうど夕方で、ドンって迫力を感じるタイミングで
工場が目に入って、
え、こっちじゃん!山じゃなくて、こっちだろ!
って気持ちになったんです。

とりあえず授業の課題としては、山を描いて、
帰ってすぐ描いたのが、はじめての工場の絵。
その時に、あ、これじゃん、
これを描きたいんじゃんってなってから、
それからずっと工場の絵を描いてますね。

 

 

あれは素晴らしかったなぁ

最近は工場地域で、観光産業として工場が使われている
ってのも結構あるけど、
私が今度作品を展示する八戸工場大学という
プロジェクトは、そこからもう少し掘り下げて、
地域の工場が、どのように地域に関わっているのか、
関係性とかを、もう少し勉強するプロジェクトで。
工場の関係者が講師として来て、教えてもらったり、
取材にも行って、工場を外から眺めるだけじゃなくて、
工場の中に入って見学させてもらったり、、
あれは素晴らしかったなぁ。

 

 

Pick up Book

“Andreas Gursky – nicht abstrakt”

作:Andreas Gursky


これは作品集の中でも一番宝物かもしれない。
去年ドイツに初めて行った時、デュッセルドルフに、
デュッセルドルフ芸術アカデミーがあって
学生たちの作品を見られるんじゃないかと
期待しながら行ったら、
夏休みだから誰もいないよって言われて、
悲しくなったんだけど、学生が何人かいて、
すごく明るく声をかけてもらって。
近くでアンドレアス・グルスキー展やってるし、
解説するから一緒に行こうよ、
って言ってもらったんです。

グルスキーは前から知ってはいたんだけど、
本物は見たことなくて、
自分の背を超えるような大きさの作品で、
めちゃくちゃ迫力があった。
色がすごくかっこいいんだよね、
構図もすごく決まってる。
それで、この作品集を現地で買ったの。
荷物重くなるのに。

で、空港で、手荷物の重量オーバーで、
ダメです!って言われて、
お願いします!学生なんです!ってお願いしたら、
ああ、じゃあいいよ、って言ってくれる人もいたり、
絶対ダメ!って人もいて。
でも、この本は捨てたくないから、
荷物から服をめっちゃ捨てて凌いだ。
服はまた買えるけど、
これは日本に帰ったら手に入らないなって。

 
 
 

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Homepage:saccofuji.com