Kazuya Yanagihara
Resercher&Robot Venture


  ・素直に諦められて、視野が広がった
  ・試験をサボるほどの本
  ・自分はこの人みたいになれないと思った
  ・たぶん、そっちの方が面白い

 

柳原 一也さん
神奈川県横浜市
大学院リサーチャー/ロボットベンチャー

 

素直に諦められて、視野が広がった

なんで本棚を買ってないかというと、
大学院の2年間だけしかこの家に居ないだろうと、
気分的には借りぐらしのつもりで。
やってんけど、どんどん本が増えてって、
めっちゃ本が重なってんねん。

ギターの本?
ギター、最近全然弾いてないなぁ。
中学二年生ぐらいの時に、
いとこのお兄ちゃんがギターを弾いてて、
かっこいいなぁって、思ってはじめた。
バンドも組んだりしてて、ミュージシャンとか、
憧れはあったよ。

当時組んでたバンドで、
オリジナルの曲とか作ってたから、
レコーディングしようってなってん。
普通ならレコーディングスタジオを借りて、
レコーディングエンジニアを手配して、
レコーディングするんやけど、
よく行ってた練習スタジオのおっちゃんが
おもろい人で、自分たちで録ったらええやん、って。
それで、MTR(マルチトラックレコーダー)っていう
多重録音する機材をみんなでお金出しあって買って、
DIYでレコーディングしてね。
レコーディングの本を読んで、
マイキングのことを勉強したり、
結構、その経験が面白くて。

それをやったから素直に諦められたというか。
プロは、どんだけすごいねんって。
一方で、演奏だけが全てじゃないな、と。
より広い範囲で、ものづくりができたら面白いなって。
視野が広がったというか、
それがきっかけで、デザインに興味を持った気がする。

 

 

試験をサボるほどの本

大学三年生の秋ぐらいから就活がはじまって、
最初はスーツ着て、合同説明会とか行ってたんやけど、
デザインに興味を持ったから、
デザインの専門学校行きたいなって思って、
就活やめて、バイトをして専門学校に行くための
お金を貯めてた時もあってんけど。
ただ、そのバイト環境があまりにも酷くて、
小さくてもいいから制作会社に行って、
勉強しながら働こうと。
たまたま、大学経由の求人募集を見てたら、
一社だけ広告制作会社の編集者の募集があって、
その会社に受かった。
今、振り返ると、すごく良い選択やったと思う。

ありがちやけど、
簿記の二級を就活の前にとろうと思って。
で、勉強をはじめて。
試験の前の日ぐらいに、
この本(痴人の愛 著:谷崎潤一郎)を買っちゃって。
読んでたら、あまりにも面白過ぎて。
まあ、簿記とかええかなと。
試験を受けるのをやめて、
で、いまだに資格を持ってない。

でも、その会社の面接の時に、
どんな本読んでるの?って話になって、
痴人の愛とか、他にも読んでる本の話をしたら、
話が盛り上がって。
結果的に僕のことを面白いと思ってもらえて、
採用してもらえたと思う。
結局、自分が面白いと思うことを、
面白いと思ってもらえる環境に身を置くのがええよね。

 

 

自分はこの人みたいになれないと思った

入った広告会社で作ってた雑誌の一つが、
これ、「ノッテ オリテ」。
大阪市の交通局が出してたフリーペーパーで、
編集を担当してて、当時の大阪市の予算の関係で
休刊になってしまってんけど、
最終号にはちゃんと名前を載せてもらえた。
人気もあって、駅に置いてもすぐ捌けちゃう。

ずっと大阪に住んでたけど、
知らんかったいろんなお店に取材に行ったりしたよ。
他には、深夜に検車場に集合して、
終電が終わって、保線作業の取材をしたこともあった。
普段は地下鉄の車両が走ってるところを、
トロッコみたいな屋根がない検査用の車両に乗って、
検査の様子を見せてもらって、
マルチプルタイタンパーっていう
保線用の車両を間近で見れたりとかできたし、
自分としても面白い仕事やったなぁ。

他には大学案内とかも制作しててんけど、
当時の上司が、僕よりはるかに忙しいのに、
仕事をしながら、取材をして、
大学関連の本を書いて、
一年に一冊ぐらいのペースで出版してて。
それが、ほんますごいなと。
そこまでのモチベーションが、
自分の中に無いことに危機感を覚えて、
自分はこの人みたいになられへんやろうし、
もうちょっと他の生き方を探さな、やばいって思った。
あとは、当時、Rhizomatiksをはじめとして、
インタラクティブな広告表現が注目を集めつつあって、
自分でもArduinoを買って触ったりしてて、
こういうことをもっと勉強したい、
と思ったこともあって、
それで、会社辞めて、大学院に行こうと。

大学院では今までやってきたことと、
一番差があることをしたいなって思ってたから、
多少、リスクをとるというか、
今までと、毛色が違うことをせなあかんけど、
バーチャルリアリティや、ハプティック(触感)デザイン
をしている研究プロジェクトに入りました。
先輩とかに、めっちゃ手伝ってもらいながら
なんとか研究してたけど、
結果的に、そこで得たノウハウが
これからの仕事にも繋がってるから、
この選択も良かったなって。

 

 

たぶん、そっちの方が面白い

大学院に来て、プログラミングとかの大変さを、
自分が一度経験してちゃんと身に染みて分かると、
そういうことができる人への接し方とか
依頼の仕方とかが変わるなと思った。
編集の仕事をやってた時も、
最初はカメラマンに
とんちんかんな指示を出してたなと。
でも自分で一眼レフカメラを買って、
勉強するようになって、
初めてちゃんとした指示を出せるようになった。
カメラマンさんからも「めっちゃ楽でした!」
と言ってもらえたりして。

感覚的には趣味が増えるし、
いいなって思ってカメラをはじめたけど、
それが結果的に仕事にも活きてくる。
そんな風に趣味と仕事が、
混ざり合うようなのがいいなって。
その分、忙しくなるのかもしれないけど、
たぶん、そっちの方が面白いような気がする。
どんな仕事でも面白くないと辛いし、
でも、仕事が趣味と重なったり、
一緒に働く人が面白かったりしたら、
多少しんどくてもね、やっていける。

去年の4月から携わっている
Haptic Design Projectでやってるイベントも、
参加してくれる人が楽しむのはもちろんやけど、
運営してる側も楽しい。
それがめっちゃいい。
ストレス無くできてるから、
そういう働き方って大事やと思う。

 

 

Pick up Book

“ガダラの豚”

著:中島 らも

中島らもの推理小説でめっちゃ良かった、
小説で一番好きかも。
本の内容ももちろんやけど、
その作者の人となりが面白いってのが、
めっちゃあるかなと思う。
好きな作家の共通点を考えてたら、
中島らもとか、みうらじゅんとか、伊丹十三とか、
好きなことを仕事にしてる人というか、
結構、そういうところがあるかなって。